合縁奇縁

根がオタクなんです

ミュージカル「レ・ミゼラブル 」/ コゼットとエポニーヌと、ファンテーヌのこと

 

 

思えば、レミのみんなは「狭間」で戦っているのかもしれない。

ジャン・バルジャンは、「信念」と「守るべきもの」の狭間で。

ジャベールは「正義」と「また別の正義」との狭間で。

マリウスは、アンジョルラスとコゼットとの狭間で。

 

随分と間が空いてしまいましたが、今回も、前回同様見た順にトリプルキャストのみなさんについてお話しようと思います。

 

前回の記事(マリウス・アンジョルラス)

umax0212.hatenablog.com

 

本記事ではコゼットとエポニーヌ、そしてファンテーヌについてです。

あくまでも個人的な感じ方に過ぎませんが、「そういう見え方もあるんだなぁ」くらいの気持ちで、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

 

 

 

 

「狭間」と言いましたが、コゼットとエポニーヌは、基本的にその対象となるものが同じ気がします。

「自分の人生」と、「愛する人」の間なのかなぁと。

 

コゼット

▼小南満佑子さん

すごく賢いコゼットに見えました。

自分の意思がしっかりあるコゼット。

「いつのまにか幸せになっていた」というよりも、自分で幸せを手に入れたコゼットに見える。

そのせいか、バルジャンの最期はまるで本当の父娘を見ているようなリアルさがあります。

ただ何も知らずに身近な人の死に泣く“女の子”ではなく、ちゃんと、父の病床に居合わせた、“娘”です。

それは小南さんが持つ意思の強さみたいなものが、父娘特有のあの空気感を醸し出しているのかなぁなんて思いました。

「パパしっかりして!」と叱る娘と、「はいはい」と困ったように微笑む父親。

すごくリアルな親子像です。

小南さんはタイタニックぶりでしたが、歌もさすがの安定っぷりで、とても「お姉さん」なコゼットでした。

マリウスについて書いたときにも申し上げましたが、原作のマリウス・コゼットって、意外とバルジャンに冷たいので、時折「お前さぁ・・・」という感情を抱いてしまうのですが、小南さんは意思のあるしっかりしたお嬢さんなので、全くそれを感じないですね。

サバサバっとして、自分を持っていて、とても主体的なコゼットです。

 

生田絵梨花さん

きました。

「お前さぁ・・・」と思えるコゼット。

そして、首が長くお顔も小さいので、デコルテがすごく綺麗で、ウェディングドレスが似合う本当に美しいコゼットです。

バルジャンの最期、パパに再会できたのが嬉しくてたまらないという顔が本当に、泣かせます。

ただ、腕に包まれているところは小動物みたいでめちゃくちゃかわいい。

 

コゼットって、変な言い方をすると、基本「何もしない」じゃないですか。

自分から何か行動するところを、描かれていないですよね。

そこと対照的に描かれるのが、ガシガシ主体的に動くエポニーヌであって。

コゼットは、「なんかよくわからないけど、みんなに助けられて幸せになりました〜!」な存在。

でも、本当はそれが、当たり前なんですよ。

それでいいんです。

コゼットは「何もしていない」、何もしていないのに餓死したり虐待を受けたり、そんなことがあっていいはずがないんです。

「愛されるべき存在」であって、生田コゼは、それがすごく表れたコゼットだなぁと思います。


▼熊谷彩春さん

ひたすらにかわいい。

めちゃくちゃかわいい。

でも自分の意思もある。

ちゃんと「いいところのお嬢さん」なのに、全然嫌味っぽくないのは、熊谷さんの持つ天性の空気感からなのでしょうか。

プリュメ街の、顔を手で隠しながら踊る恋する乙女モードが可愛すぎる。

でも不思議と、浮かれポンチではないんですよね・・・

「一時のテンションに身を任せて結婚までしちゃいました〜!」というより、このコゼットなら大丈夫だな、という不思議な安心感がある。

お若いのに、あの包容力は何なんだろう・・・

バルジャンの最期の「パパ」の言い方が、最高に泣けます。

賢さと愛らしさ、いいとこ取りなコゼットな気がしますね。

 

エポニーヌ

唯月ふうかさん

泣かせるエポニーヌ。

一番泣きました。

泣いたように笑うから、切なさが増す。

いじらしくて、健気で、女の子成分多めです。

本当にあの環境で育ってきたのか?と思うくらい、純粋です。

少女漫画的な見方をすると、唯月さんのエポは、どこかコゼットより主人公っぽいですよね。

自分に自信がなくて、恋も人生も諦めていて、好きな人のために一生懸命で・・・見る側の共感を誘うエポニーヌ。

唯月さんご自身が、女優さんとしてすごく「ノッている」時期なんだと、感じました。

私これ、今回同じ感情を伊礼さんに対しても抱いたんですけども・・・なんでしょう、ノッている

役者さんはそういう時期があるんでしょうか。

 

▼屋比久知奈さん

熱い。

自分の境遇を恨んではいても、自分の「生き方」には自信を持っています。

だからこそ、腹が立っている。

途中から、「あ、これ怒ってんだ」と。

少し話は逸れますが、私は熱く「怒る」人が好きです。

熱く怒るというのは別に、怒鳴り散らかしたり感情を露わにしたり、そういうことを言っているわけではなくて、グラグラ沸々と、マグマを腹のなかで燃やしているような人に、すごく魅力を感じるんです。

怒るということは、「諦めていない」ということですからね。

他のお二人と比べると、あまり恋愛に重きを置いていないエポニーヌのように感じました。

それでも彼を庇って死んでしまうんですから、なかなか未来を変えるのは難しいですね・・・


昆夏美さん

安心と信頼の昆さん。

昆さんのエポニーヌは、なんてったってモンパルナスとの絡みが見どころでした。

ポンメルシー・・・

まぁ、私がモンパを好きすぎるってだけなのかもしれませんが、いえ、でもあんなのずるいですよね、好きになっちゃいますよね・・・

すーごいオイシイポジション。

美形のオシャレさん、そして絶妙にクズ。

薔薇をくわえるシーンは、笑うところじゃないんだと思うのですが、私は最高すぎて爆笑です。

ジャンおじさんにお説教されるシーンも見たかったなぁと、思いを馳せてしまいます。

相葉さんは今まで数えきれないくらい薔薇の花を胸に挿してきた、もはや薔薇俳優と言っても過言ではありませんので、モンパルナスも似合いそうですね、なんて、なんてね・・・

 

話を戻しまして、昆さんのエポニーヌは、モンパルナスとの絡みを見ていると、「絶対ソッチの方がいいって」と余計な世話を焼きたくなるくらい、なんだか“お似合い”なんです。

本っ当にいらん世話なんですけれども。

それくらい艶のある、とても色っぽいエポニーヌです。

 

 

それでは最後、ファンテーヌですが、冒頭、レミのみんなは「狭間」で戦っていると申し上げましたが、ファンテは少し違うように感じます。

信念と意地を曲げず、利口に生きられなかった人。

もちろん、それが「悪い」というわけでは決してありません。

きっとみんな、心の奥底ではそう生きたいと思っている。

けれども現実ではそうはいかないので、そうやって生きられる人のことを妬ましく思ってしまうんですよね。

うらやましいんです、本当は。

そんな嫉妬と羨望の対象になる三者三様のファンテーヌです。

 

ファンテーヌ

知念里奈さん

知念ファンテは、世間的に言う「同性に好かれないタイプ」だなぁと思います。

ファンテーヌって、何にも悪いことをしていないですし、悪いのは100%彼女を虐めた人々なんですけれど、「もう少し上手くできたんじゃない?」と思わせる女性じゃないですか。

知念ファンテは、特にそこが顕著な気がします。

もう少し、あともうほんの少しうまく立ち回っていたら、助けてくれた人もいただろうに、と・・・分岐ミスは1つ2つ。

でも、わかるんです。

ファンテの気持ちはものすごく。

わかるからこそ、もどかしくなる。

私自身、自分の融通がきかない性格のせいで人間関係で悩むことがあるので、すごくわかります。

意地を張ること、信念を貫き通すこと、もちろん大事です。

でも、彼女には「守るべきもの」があった。

・・・何が正しいかは、また別の話なんですけどね

しつこいようですが、どんな理由であれ人を虐めていい理由になりませんし、彼女の悲惨な最期を「仕方ない」とは感じてはいけないと思っています。

ただ、自分がファンテにものすごく感情移入してしまう歳になったんだなぁと思いました。


▼二宮愛さん

一番泣くファンテ。

リアル。

すごくリアル。

無知な女性がいとも簡単に転落してしまう様子が、誰にでも起こり得ることなんだと実感させる。

あの転落っぷりに、納得さえしてしまうファンテーヌです。

同じ女として心では納得したくないし、納得してはいけないとも思うのですが、はかったような流れであまりにもとんとん拍子に悪いことが重なる。

分岐を全部ミスってる。

悲しい説得力のあるファンテーヌです。

最期の弱り方もとても怖い。

コゼットの幻覚を見て微笑む姿もゾッッッとするものがあるし、ただ同時に「守ってあげないと」と思わせるので、知念ファンテよりは同性に好かれそうなファンテーヌなのかもしれない。

バルジャンの最後、迎えに来たときの歌声があんまりにも神々しくて、ひっくり返りました。

最期が恐ろしい乱れっぷりだったので、女神様のような美しい姿を見られてめちゃくちゃ泣けましたね。

 

濱田めぐみさん

一応、なんてったって無知で愚かな女性・ファンテーヌなので、分岐はミスしまくるんですけども、そのミスをミスと言わせない強い意志があるファンテーヌ。

悲愴さは、ほとんど感じません。

でも、そこがすごく面白いです。

他2人のファンテは「儚さ」を重視しているのに対して、濱めぐさんはやっぱり「強さ」なんですよ。

開幕前、散々「濱めぐファンテは死なない」と言われ続けてきましたが、どっこい、帝劇ではとても儚いファンテーヌを見事演じ切られましたよね。

もちろん、それもよかったんですけども、私は公演数を重ねるにつれて、「強い」ファンテーヌになった濱めぐファンテが、すごく好きです。

濱めぐさんにしかできない、新しいファンテを確立されたと思います。

 

 

 

えー、長々と語りましたが、なんと、この記事をちんたら書いているうちに、推し様が32歳になりました。

おめでとうございます〜〜〜!!!!🎉🌟

 

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さらに、そうこうしているうちにTDVが幕を開けようとしています。

めちゃくちゃ楽しみです。

 

 

次回の更新はテナルディエ夫妻か、バルジャンか、はたまたジャベールか・・・悩みどころですが、順番的はテナルディエ夫妻ですかね。

TDVの感想を書く前に終わるのかどうか、かなり怪しくなってきましたが、またお付き合いいただけると幸いです。

 

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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相葉さんの頬っぺたのホクロスキーとしましては、すっぴんがありがたいでございます。