ミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』 〜私は正しい!完全に正しい!〜
2018年、ベリベリハッピーになれる、"ミュージカルオブ・ザ・イヤー"ならぬ、『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』を観てきました。
99.9%笑って、残りの0.1%でちょっぴり泣けるような、そんなハッピーしかないラブコメディ。
誰も不幸にならないし、悪いヤツは一人も出てこない。
〜例によって例にごとく、相葉裕樹さんを称賛する会のはじまりはじまり〜
<ストーリー>
その年の最も輝いた女性に贈られる賞“ウーマン・オブ・ザ・イヤー”の授賞式を控えた人気ニュースキャスターのテス【早霧せいな】。お互い一目惚れでスピード結婚した風刺漫画作家・サム【相葉裕樹】との新婚生活をスタートさせ、公私共に順風満帆の筈だったが・・・!?バリバリのキャリアウーマン(バリキャリ)道まっしぐらのテスは、何よりも仕事が最優先。気付けばサムとの関係には亀裂が生じ、早くも離婚危機に陥ってしまう。愛するサムの事は大切にしたい、でも今まで築き上げてきたキャリアは絶対的なもの。そんな時、テスが取材をした亡命中の有名バレエダンサー・アレクセイ【宮尾俊太郎】の思いがけない決断が、彼女の心を大きく突き動かす。家庭と仕事、女性の本当の幸せは、果たしてどちらにあるのか?キレっ切れのテス・ハーディングが目指すパーフェクトな人生とは・・・
私は、HUNTER×HUNTER芸人での宮田さん現象*1を味わった。
結婚と仕事の狭間で、主人公・テスが苦しむシーンは、同じ女として見ていてつらいものがあります。
それでも、悩みに悩んで出した結論がテスらしくって明るくて、すごくコミカルな笑えるシーンのはずなのに、急に視界が狭くなっていつの間にか涙が・・・
宮田大明神様!!こういうことですね!!!!
わかりやすく悲しいシーンより、"そういうの"に、弱いです。
そういう感動って、そのシーンだけ見てもわからないんですよね。
観客は、早霧せいなさんの演技を通してテス・ハーディングという女性の人生を見てきたから泣けてしまうんだと思います。
時間にして2時間55分・・・たった2時間55分の間に、テスの人生まるっと知ったような気になれる舞台でした。
「仕事と私どっちが大事なの?」問題
ウーマン的に言うと、「仕事と僕、どっちが大事なんだよ!cv.相葉裕樹」ですが。
ただ、テスの秘書・ジェラルド役の今井さんもおっしゃっていましたが、この作品は仕事と結婚の両立という特定のテーマだけではなく、もっとふわっとした、「人として」というような、本質的なところを描いているように感じました。
それがサムの最後の台詞、「"テス・ハーディング・クレッグ"を目指してみないか?」に繋がるんじゃあないかと。
男も女も超えた、ただ一人の人間としてどう生きるかを、考えさせられる作品でした。
「私は正しい!完全に正しい!」 〜テス・ハーディングの場合〜
やっぱり、清々しいくらいの肯定はスカっとします。
爽快です。
本当にそれだけ努力しているし、実力も伴っているから。
完全に正しい!って、すごいパワーワードだと思います。
しかし早霧さん、宝塚時代は男役だったと感じさせないくらいキュートな女性を演じてらっしゃいました。
テス、すっっっごく可愛いんですよ。
女性の社会進出を取り上げるような作品の主人公なんて、「かっこいい」と思うじゃないですか。
もちろん、かっこいいのは大前提なんですが、何より、可愛い。
何というか、女としてじゃなく、"人として"可愛いんです。
先にも申し上げた通り、仕事と結婚との両立に悩んで、サムとうまくいかなくなってしまうシーンがあるのですが、悩むまではよくある話だと思うんですけど、「悩むくらいならやってみよう!」って結論にたどり着いちゃうのが、テスの素敵なところです。
というか、悩んでいるシーンも全然ジメジメしてない。
悩み方すら清々しい。
ロシアのバレエダンサー・アレクセイ役の宮尾さんとの掛け合いが、最高に笑えます。
違うタイプの天然がぶつかり合って化学反応を起こしてるの、側から見ていてめっちゃ面白い。
でも、テスがアレクセイの決断を聞いてハッとするあのシーン、すごくいいんですよね。
テスのいいところは、自分をしっかり持っているけど、周囲の意見にもちゃあんと耳を傾け受け入れるところです。
それは、自分の未知に触れたとき「なぜ?」「どうして?」の気持ちが前提にあるからなんですよね。
疑問に思うことを忘れてしまうのは、悲しいことなので・・・
"精神的に向上心のないものはばかだ"が頭を過る。
「まず行動!それでダメなら仕方ない」というスタンス、すごーくサッパリした男気があっていいですよね。
女らしさの中にキュートさを兼ね揃えているなんとも爽快で魅力的なテスは、「早霧さん、これ地でやってんじゃ・・・?」と感じさせるくらいはまり役でした。
オチはいつだって「それが・・・何?」 〜サム・クレッグの場合〜
ウーマンに限ったことではないんですが、相葉さんって、どうして現れるだけで舞台をキラッッッキラしたものにしてしまうのでしょうか。
まだ二人が出会う前、ニュース番組でテスが自分の職業である風刺漫画家を批判するのを聞いてしまって、テンションだだ下がりの仲間たちに「こんなの忘れてみんなで楽しくポーカーしようぜ」と明るく促すけど内心ガン切れなシーン、「っぽいわ〜・・・」って感じです。
そんな激おこシーンの直後、テスに一目惚れする流れは見所ですよね。
早霧さんのコミカルな演技とマッチして、会場の爆笑をかっさらっていました。
「僕が望むのは、君の人生に僕の居場所を少しだけ残しておいてくれることなんだよ」
難しい曲が多いと、公演前はおっしゃっていましたが、歌もすっごくよかった。
相葉さんの歌声の好きなところは、変にツヤをつけていないところです。
しゃくりをたくさん入れる歌唱が個人的にあまり好みではないので、相葉さんみたいに、譜面通り真面目〜に歌う方が好きです。
空気をたくさん含んだように聞こえる歌声も、聴いていて心地いいです。
「結論から先に決めてしまうことが、お前の癖なのかもな」と、バー・インクポッドの店主・モーリーに言われるシーンがあるのですが、このセリフ、ズシーーーンときました。
どちらかというと私もそのタイプなので・・・
先に結論を決めて、その結論に行き着くためにはどうしたらいいのかとCPUをフル稼動させるのですが、サムももしかしたらそうなのかもしれませんね。
それがいいのか悪いのかはまた別の話ですが。
自身が産み出した漫画のキャラクター・カッツに話しかけるシーン、もう一人の自分と話しているようで、オトコノコだな〜ってキュンとします。
でもあぁやって自分の気持ちを整理するのって、すごく芸術家っぽいです。
そう思えば、すぐ周りが見えなくなるくらい何かに夢中になってしまうところは、実はテスとサムは似た者同士なのかもしれません。
そして、本公演の見所の一つと言っても過言ではない、相葉さんと宮尾俊太郎さんのキスシーン。
まさか、初めて生で見る相葉さんのキスシーンが、元宝塚男役のイケメンすぎる女性と、身長180超えの美形男性バレエダンサーとだなんて、思ってもみませんでした。
途中から私、宮尾さんが出てくるだけでツボっちゃって大変でした。
顔がいい人がぶっ飛んだことやってると、めちゃくちゃ面白いですよね。
楽屋が同じなので、一緒にいる率が高くて嬉しい。
あと、今井さんがイケオジすぎて、初めは三枚目な役かと思いきやただのリアコ製造マッスィーンでした。
めちゃんこかっこいいオジサマです。
これから観に行かれる方は、テスがポイズンクッキングをしているときの今井さんをぜひ見ていただきたいです。
超かっこいいので。
本当はキャストのみなさん一人一人熱く語りたいくらいなんですが・・・諦めました。
自分がそのとき感じたことを忘れたくないと思って始めたブログですが、記事を書くのってものすごく体力使いますよね。
きっちり観劇レポ書かれている方、本当に尊敬します。
帰りの飛行機、2代目のCrystalを聴いていたらなんだかボロボロ泣けてきて、情緒不安定なオタクになってしまった。
今の相葉さんと、全然変わらない少し中性的な顔。
みんな卒業して自分だけ残るのが寂しくて心細くて、大きくて頼もしい城田さんの腕にすっぽりと収まってしまった細っこい体。
子どものような泣き方で、「・・・がんばる」と、どう頑張っていいのかもわからないような不安げな顔で呟いた声。
強がったようなはにかみが、不安でいっぱいだったんだろうな、と何度見てもじんとしてしまいます。
そんな、相葉さんの大好きなところが詰まっているDreamLive3rd。
家に着いたら見返そうかな、なんて、センチメンタルな気持ちになってしまいました。
私は2006年の"相葉くん"には直接会えなかったし、もう会うこともできない。
でも、その10年後、若き革命家を演じる29歳の"相葉さん"に出会うことができたから、こんなに好きになったんじゃないかなぁ、なんて、そう思うのです。
血の滲むような努力は
きれいな一筋の汗になる*2
twitter.com【相葉裕樹】#ウーマンオブザイヤー 大阪千穐楽を無事にむかえることができました。ありがとうございました!そして6/1からはTBS赤坂ACTシアターにて上演です⸜( ॑꒳ ॑ )⸝ サム&カッツにも会いにきてください♪*゚ とても可愛いナンバーがありますよ!
— グランアーツ (@Gran_Arts) 2018年5月27日
お待ちしております。
「それが何?!」 pic.twitter.com/q5ULasijsZ
*1:Kis-My-Ft2宮田俊哉さんが、HUNTER×HUNTERの敵キャラであるメルエムの最期のシーンを読んでいたとき、文字が見えづらいと思ったら気付かないうちに涙が出ていたという筋金入りのオタクであることを証明したエピソード